S-OIL Shaheen:
韓国最大の石油化学プラント建設を支えた超重量物揚重作業
| 事業内容 | プラントエンジニアリング事業 |
|---|---|
| 所在地 | 韓国・蔚山(ウルサン) |
| 分野 | 重量物揚重・相吊りによる揚重・カスタムリギング |
| 成果 | 韓国国内記録樹立 ・ 現場占有の削減 ・ 徹底した安全管理 ・ 一元的な調整体制 |
韓国のDENZAI International Projectsは、蔚山の石油精製化学プラントS-OIL Shaheenプロジェクトにおいて、弊社保有の最大吊りトン数の2500t クローラークレーンを導入し、複数の揚重作業を実施しました。超大型クレーンの相吊りによる超重量物の揚重プロジェクトでした。
プロジェクトの合計揚重作業は127件におよび、その内100tを超える超重量物は60件超を実施 。2500tクローラークレーンによる、1160.5tの超重量物の揚重は、クローラークレーンによる韓国史上最重量となる吊り上げ揚重記録を達成。またプロジェクトにかかった総作業時間153,520時間を通じて無事故無災害を記録しました。
プロジェクト概要
S-OIL Shaheen プロジェクトは、サウジアラビアの石油会社サウジアラムコ社の資本が入ったS-OIL社による、韓国史上最大規模の石油精製化学プラントのプロジェクトです。
2023年1月、蔚山の温山(オンサン)国家産業団地内の880,000m²の敷地で着工。建設総額9.2兆ウォン(9,700億円)にのぼる巨大な開発プロジェクトで、年産180万トンという単一施設として世界最大のエチレン生産能力を備えています。
当プラント建設は、韓国の大手ゼネコン3社 ― 現代建設(Hyundai Engineering & Construction)、DL E&C、現代エンジニアリング(Hyundai Engineering) ― によって分担されていました。DENZAI International Projectsは、この3社の重量物揚重の計画と施工を一括実施するために起用されました。
実施した127件の揚重作業の多くが、それぞれ特性を持つ重量物であり、それに応じた専用の吊り具を必要としました。また現場は、非常に過密な環境で、3社のEPC間で相互に作業が行われ事後の再設計をほとんど許さないスケジュールでした。
当S-OIL Shaheen・プロジェクトで、DENZAIグループ初となる、2,500トン吊りクローラークレーンを用いた重量物揚重作業を完遂しました。韓国における最重量物の揚重国内記録を塗り替える等、韓国においても、当社にとっても、大きな試金石となるプロジェクトとなりました。
— Jeong Won Seo, Managing Director, DENZAI International Projects Co., Ltd.
01エンジニアリングと機材
主要な超重量物の揚重作業は、詳細な3Dによる現場検討から始まりました。
混みあった現場において、精査を要するクレーンの配置、ブームのクリアランス、旋回経路、吊り荷の搬送経路の等、60件超の全作業にわたって全てを最適化し、日数のかかるクローラークレーンの移設を最小限に抑えることに成功しました。
揚重を行った主要部材の多くは、重心の偏り、非常に限られた吊り点、規格外の取扱いの難しい形状をしており、難題が数多く、特殊な吊り具を必要としたため、DENZAIで吊り具の設計を実施。
また、500トン・350トン・150トンのビームを組み合わせ、1,000トン・700トン・300トンの構成にすぐに組み合わせられるモジュール式スプレッダービームを採用することで、クローラークレーンをばらして、再度ゼロから組み上げるよりも効率的に再稼働することに成功しました。
DENZAIのエンジニアリング力を示したより難度の高い揚重の一つが、PAR-64の揚重作業でした。
PAR-64は431トンという重量に加えて、35.7メートルもの長さがあるパイプラックモジュールで、既存の2つの構造物の間に据え付けました。
揚重にあたり、独立して調整可能な9つの油圧シリンダーを備えた2段式スプレッダービームを用いることで、吊り点に各シリンダーが荷重を分散させ、リギングチームは高所でモジュールをリアルタイムに水平調整し、±0.3°という据付精度を実現しました。
最大の難題は、限られた狭隘な空間の中で、極めて重い荷を安全かつ正確に吊り上げることでした。周囲の構造物との干渉を避けるため、クレーンの配置と揚重経路についてシミュレーションと事前検討を何度も重ねる必要がありました。
— Ah Young Shin, Senior Technical Engineer, DENZAI International Projects Co., Ltd.
02国内記録:韓国史上最重量のクローラークレーン揚重
当プロジェクトにおける単体での最重量揚重であり、韓国で実施されたクローラークレーン揚重としても史上最重量となったのが、重量1,160.5トンの第1段HCRリアクターです。
高さ44メートル、重量1,160.5トンのリアクターを、LR12500-1.0をメインクレーンとする相吊りにより、水平から垂直へと建て起こしました。
この作業では、反転の進行に伴う段階的な荷重移行が求められました。リアクターが垂直に近づくにつれ、メインクレーンの荷重負担は588トンから1,160.5トンへと増加しました。
両クレーンとも、定格能力に対する使用率は全工程を通じて85%未満に保たれ、テーリングクレーン側では地耐力を41.64t/m²まで確認し、風速は10m/sを上限として監視し、建て起こし工程全体にわたって荷重をリアルタイムで追跡しました。
プロジェクト全体を通じて、DENZAIは120件超の揚重作業を実施し、29,415トンを揚重。総作業時間153,520時間を休業災害ゼロで記録しました。
プロジェクトのすべての重量物揚重作業を無災害で完了したことに対し、2025年11月に現代建設(Hyundai Engineering & Construction)より、S-OIL Shaheenプロジェクトを完遂したチームに対し、功労賞(Achievement Award)をいただきました。
今後は、原子力発電所や洋上風力発電を含む、より大規模なプロジェクトにも取り組んでまいります。
— Jeong Won Seo, Managing Director, DENZAI International Projects Co., Ltd.
主要情報
| 発注EPC | 現代建設、DL E&C、現代エンジニアリング |
|---|---|
| 作業概要 | 重量物127基を揚重/主要揚重60件超/29,415トンを移送 |
| 最重量揚重 | 1,160.5トン ― 第1段HCRリアクター(韓国史上最重量となるクローラークレーンによる揚重) |
| 最長部材 | 85.6メートル/40メートル超の塔槽類28基が相吊りにより建て起こしを実施 |
| 使用クレーン | LR12500(2,500トン吊り)、LR11350-P1800(1,800トン吊り)、LR1750(750トン吊り) |
| 安全記録 | 153,520時間 無事故無災害 |
| 受賞 | 2025年11月、現代建設より功労賞(Achievement Award)を受賞 |
S-OILシャヒーン・プロジェクトで最も重かった揚重は何ですか?
第1段HCRリアクター(重量1,160.5トン、高さ44メートル)です。
2,500トン吊りクローラークレーンLR12500を用いた相吊り作業で、水平から垂直へと建て起こしました。これは韓国で実施されたクローラークレーン揚重として史上最重量記録です。
相吊りとは何ですか。また、なぜリアクターの建て起こしが必要だったのですか?
相吊りとは、1台では重すぎる、あるいは長すぎる荷を扱うために、2台のクレーンを連携させて行う揚重です。
建て起こしは、塔槽類を(搬入時の)水平姿勢から(据付時の)垂直姿勢へと回転させる作業で、S-OIL Shaheenにおいては回転の進行に伴って荷重がメインクレーンへ段階的に移行し、588トンから最終的に1,160.5トン全体へと増加しました。
3社のEPCにまたがる工程をどのように管理したのですか?
このプロジェクトでは、3社3件の重量物運搬契約を個別に受注するのではなく、作業パッケージを横断する単一のプログラムとして契約し運営されました。つまり、3社が1つの請負業者、1つのエンジニアリングチーム、そしてプロジェクト全体で共有される1つのクレーン群を計画したのです。これにより、関係者間の調整作業が大幅に簡素化され、クローラークレーンの設置・撤去の回数も削減されました。
DENZAIは本プロジェクトのためにどのようなカスタムリギングを設計したのですか?
主要部材の多くには、DENZAIが設計したトラニオン、吊りピース、スプレッダーシステムを使用しました。これには、1,000トン・700トン・300トンの構成に組み替え可能なモジュール式スプレッダービーム群や、431トンのパイプラックモジュールを±0.3°の精度で据え付けた2段9シリンダー式スプレッダーが含まれます。
S-OILシャヒーンにおける安全記録はどのようなものでしたか?
60件超の主要揚重を通じて、総作業時間153,520時間を無事故無災害で達成しました。
すべての重量物揚重作業を無事故無災害で完遂したことに対し、2025年11月に現代建設より、功労賞(Achievement Award)を受賞しました。